5 Albums That Changed My Life: Haioka and Albino Sound

Danny Masao Winston / March 09, 2015

Red Bull Studios Tokyoのオープンを記念して先日行われた、Red Bull Studios Tokyo Housewarming Partyにて、公開楽曲制作を行ったHaiokaとAlbino Soundの2人。2時間という短い時間枠の中で、共同で1曲制作し、レコーディング、そしてミキシングまでを済ませるという企画であった。こうして出来た新曲「Unexpected」は、こちらでストリーミング/ダウンロード可能になっているので是非チェックしていただきたい。

パーティ当日は2人の個性的な音楽性が融合したセッションとなったが、彼らの音楽性にはどのようなルーツがあるのだろうか?2人の音楽背景を探るべく、彼らが人生で最も影響を受け、心を揺さぶられたアルバムを5枚ずつ紹介してもらった。音楽遍歴は全く異なるが、両者ともにJames Holdenに人生を変えられたという、ひとつの共通点も明らかになった。

Can - Future Days (1973)

Albino Sound(以下A):多分、人生で一番聴いたアルバムのひとつですね。Canは、1960年代後半から70年代の、いわゆるクラウトロックと言われた時代に活躍したドイツのバンドで、このアルバムはダモ鈴木という日本人がヴォーカルを務めた最後のアルバムです。70年代のドイツの実験音楽が凄く好きな理由が、創造的な実験のための実験だったからなんですよ。いわゆるプロダクションとか技術的なプロセスだけじゃなくて、ヒッピー・コミューンだったり、70年代的な思想の中のイメージを音楽で実験するということをやっていた所に僕はずっと影響を受けていて。あと、多分このアルバムぐらいまで2トラックのレコーダーで録ってて、オーバーダブだけで作ってるんですよね。確かこの後ぐらいに8チャンネルに初めて増えた、みたいな記事を昔読んだことがあって。当時の録音環境だからこそできた、80年代とか90年代とか今の音楽では作り得ないイメージとかムードがあるんです。18歳のときにクラウトロックにハマってCanを聴き始めてから、ずっとこれを聴いてますね。

このバンドのドラマーのJaki Liebezeit(ヤキ・リーベツァイト)が世界で一番好きなドラマーなんですけど、彼とBurnt Friedmanがもう何年も一緒にコラボレートしていて。彼らは西洋音楽のプロセスを外す為に東洋音楽の、いわゆる小節に嵌らない所を取り入れて音楽を作っているので、そこは日本人としても影響を受けるし、この年代の、例えばニューエイジとかアンビエントの人達の、脱西洋としての東洋の音楽とか、禅の思想、仏教とかにフォーカスしていた所に影響されてるんです。

『Future Days』とかいいながら、これは完全に死後の世界なんですよね。涅槃の音楽だと思っていて。未来観って、年代ごとに全然違うと思うんですけど、この人達はもう自分たちの肉体が無い未来の世界のイメージをしているんですよね。それが僕の中での未来観で。Albino Soundとして最初に曲を作り始めたときは、その世界を自分なりに描こうと考えて。それで曲を作って、Red Bull Music Academyに応募しました。

Dragon Ash - Buzz Songs (1998)

Haioka(以下H):初期の、まだ3人の頃ですね。「無人島に持って行くなら~」っていう質問良くあるじゃないですか?高校生ぐらいのときから、今でも、Dragon Ashの『Buzz Song』は持って行くアルバムのひとつですね。なんでかっていうと、このアルバムには色々な音楽性が入ってるんですよ。当時20歳ぐらいのDragon Ashがブラック・ミュージックと、それまでやってきたパンクを混ぜていて。Smashing Pumpkinsの影響を受けているのも感じるんですけど、そこにR&Bとかラップの要素が、若さで、衝動的に混ざりあってるというか。それが独自の世界観になってるんですよね。高校生のときに聴いて、「なんだ、この聴いたことの無い音楽は?」って思って。周りの子が聴いてた元気なロックでもないし、皆が聴いてたヒップホップとも少し違う感じがしたし。なんかこう、不思議な音楽を作る人達だなって思ってて。日本ではまだ馴染みの薄かったサンプリングをやったり、ラッパーをフィーチャーしたり、バンドにDJを入れたり、プロデューサーとして活動したり。当時彼(KJ)がバッシングされたこともあったけど、その先取りする感覚とか、音楽をもっと楽しもうとする姿勢を僕はずっと感じていて、今でも影響を受けてますね。もし自分でアルバムを作るなら色んな音楽性があったほうがいいし。そして、今も挑戦し続けてる感じがすごく好きですね。​

Arthur Russell - World of Echo (1986)

A:Arthur Russellは僕が説明するまでもないレジェンドですけど、日本での評価のされ方としては、ディスコ・サイドでの評価のほうが高いんですよね。確かにLarry Levanが回してた「Go Bang!」とか名曲を作ってるんですけど、ニューヨークに移ってからのディスコ期よりも前に、彼は現代音楽とかクラシックをやっていて。Philip Glassの楽団にもいたようなコンテンポラリーの人が、ニューヨークという土地に行ったことでジャンルを横断していく過程が凄く好きなんです。このアルバムは彼が最後に作ったアルバムなんですけど、彼はゲイで、このときAIDSにかかっていて。あと何年かしたら音楽が作れなくなる、っていうような状況で、リズムボックスとチェロと声だけで作ったアルバムなんです。こないだヴァイナルでリイシューされたんですけど、もちろん買いました。人間の孤独と、物凄くシンプルな愛だけで作られてる音楽だと思うんですよ。誰の耳の側にも寄り添う音楽だけど音響的に考えたら物凄く特異なバランスで出来あがっていて。正直、こんな音響の音楽は、後にも先にもこれしか聴いたことがないです。別に、そんなにお金がかかってるプロダクションとかではないんだろうけど、凄く変な所から音が鳴ってるし。多分、僕は死んでる音楽が一番好きなんだと思うんですよ。これはもう完全に死んでますよね(笑)。向こう側から語りかけられているというか、お彼岸から呼ばれる感じが好きで。それはネガティブな意味ではなくて、死の感覚を美しくに捉えている気がします。それも禅とか仏門の考え方ですね。この人は西海岸に居た時期に、実際に禅寺で修行していたんですよ。その東洋思想なんですね。西洋人から見た東洋思想と、70年代の実験的な感覚は、音楽でも色々な文化においても、今の時代に必要な要素だと思っているんです。メインストリームの音楽のような派手さはないけれど普遍的で多幸感のある、“与えてくれる”音楽だなって思います。初めて聴いた時は家で号泣しました。

H:このアルバムは聴いたことがなかったけど、凄く良いですね。帰ったら買います。

OVERROCKET - Pop Music (2003)

H:OVERROCKETは男の人2人と女の人のヴォーカルの3人組です。この音楽に人生を変えられたエピソードから話すと、このアルバムが出た2003年ごろ、電気グルーヴも人気出てて、Underworldも人気出て、テクノのレイヴとかも始まってて、ある程度日本でテクノの人気が根付いてきていて、自分も丁度テクノにハマってたんです。大学の友達にはテクノを聴かない人がいっぱいいたので、僕は今こういう音楽が好きなんだよとプレゼンすると、「長いイントロだね」とか、「歌はいつ入るの?」とか言われて(笑)。歌はないものだとなかなか理解してくれなかったんです。大事なのはグルーヴだし、シンセが歌みたいじゃん、みたいな。どうしたら友達にテクノの魅力を伝えられるんだろうと思って、J-POPのリミックスを聴かせるとかしていたんですけど。その頃、音楽制作に興味を持ち始めて、日本のエレクトロニック・バンドとかをチェックしていたんですけど、YMOから電気グルーヴまでの流れがあって、コミックバンド的なものと、ニューウェイヴ的なのが混ざった、今でいうとロックっぽいエレクトロニック・ミュージック・バンドが当時多かったんですよ。OVERROCKETのメンバーには電気グルーヴのサポートメンバーをやっていたエンジニアの渡部高士という人がいるんですが、このバンドが出てきたのを知った時、本格的なテクノの上に凄くキャッチーなメロディーが乗っても、グルーヴを生み出すことができるバンドがついに出てきたか!と思ったんです。こういうバンドがもっと増えたらいいなと思って、それで、自分もそういうバンドをやりたくて、BREMENというバンドを組んだんです。邦楽っぽいメロディー感と洋楽っぽいグルーヴの調和って、やろうとすると凄く難しくて。だから今でもこのアルバムはお手本です。そのぐらいのアルバムだと思いますね。すごくポップな曲もあれば、ミニマルでアンビエント的な曲に歌を入れたのとかもあって。エレクトロニックの中でも、色々な音楽性に挑戦しているアルバムで、やっぱりそういう、色んな音楽が聴けるアルバムが好きですね。

A:これはキュンキュンしますね。懐かしさもありつつ。

H:歌謡曲的な聞き方も出来るんですよね。でも不思議とちゃんとテクノに聴けるっていう。

Eno, Moebius, Roedelius - After the Heat (1978)

A:これはBrian Enoがアンビエントを提唱していく裏にあるようなアルバムです。これは2度目の共作ですが、この3人の共作で構想を掴んだBrian Enoが、同年に『Music for Airports』を発表しています。ほんと、全ての熱が冷めた後の、明け方の音楽というか。クラブから家に帰ってきて、これを聴いて寝るのが大好きなんです。チルアウトの名盤中の名盤だと思います。個人よりも、人とやっているときのEnoのほうが好きですね。やっぱりプロデューサーなんだなって改めて思います。まだこの頃はEno自身がヴォーカルをやっていた時期ですね。世の中のアンビエントって呼ばれる音楽の原型なんじゃないかと思います。一番ピュアな形でパッケージングされてるし。でも後半に行くと歌ものとかも入ってるんですよ。テクノみたいな曲も入ってて、完全に出来上がったアルバムなんですよね。

ここ何年かで盛り上がったヴェイパー・ウェイヴとか、僕も大好きなOPNとか、彼らがやってることって、ここに音楽を還そうとしている行為なんじゃないかなと思うんです。細分化されたものを元に戻すというか、一周してこういう所に帰ってきてる感じはあるのかなって。同じ時期のPhilip Glassの『North Star』というアルバムとかも、シーケンスのメロディーだけで組んであるけど、いわゆるテクノ的な音楽のルーツのひとつだと思うし。あと、このアルバムのエンジニアをやってるConny Plankという、ドイツの伝説のエンジニアがいて、僕はこの人のレコーディングが世界で一番好きですね。

Boom Boom Satellites - Full of Elevating Pleasures (2005)

H:彼らはデビュー当時からブレイクビーツとかドラム&ベースとかを早めに取り入れていて、徐々にロック色が濃くなっていったバンドです。初期Boom Boom Satellitesの名作とされている『Umbra』とか『Photon』というアルバムもあるんですけど、僕の中ではこのアルバムがBoom Boom Satellitesの音楽性が成熟したターニング・ポイントだと思います。Dragon AshとBoom Boom Satellitesは高校生の頃から聴いていて、今でも「何してるのかな」って気になってチェックしてしまう日本のバンドですね。凄く緻密で、日本人らしい、計算され尽くしたアルバムだと思うんです。大雑把さを感じないというか。それが自分の中で刺激的だったんですよね。音楽を作るなら自分も丁寧に作りたいなと。それが一個のアイデンティティになるかもしれないなと思って。音楽性というよりは、彼らの音楽との向き合い方に影響を受けましたね。日本の職人的なスタンスで音楽と向き合っているというか。真剣に音楽のことを考えるきっかけにもなりました。

聴いたことの無い音楽が好きなんですよね。この音を聴くならこのアルバムじゃないと聴けない、というような独創性が。それが、それまでのアルバムより強いと思うんです。このアルバムで自分は日本人であるということを認識するというか。そういう時にケミストリーが生まれるし、そういうアルバムが好きですね。

James Holden - The Inheritors (2013)

A:僕個人というより、Albino Soundとして今凄く影響されているのが、このアルバムです。このアルバムについてじっくり考えた結果、色々と気づいたことがあったんですけど、彼がこのアルバムでやっていることは、僕がこれまで挙げた3枚のアルバムを現代の感覚でやるとこうなる、ということだと思うんです。テクノとかクラブ・ミュージックから離れた結果、70年代の音楽に還ると。それは、このアルバムのアートワークが象徴していることだと思います。このアルバムを聴いていると、昔の巨大な壁画を見ている気になるんです。彼は過去の音楽を遺跡として捉えて、「俺が発掘してきた」と言っているように聞こえるんです。だから聴いてると「この曲完全にClusterだ」とか、「これはSilver Applesのビート感だ」とかが解かってきて。でもそれを圧倒的にアップデートした先に彼がいるっていうのが凄くて。そもそも“Inheritor”って後継者って意味じゃないですか?あ、これそんな高らかな宣言だったんだ!って思いましたね。「俺がこれを後継します」っていう。

去年の2回の来日は両方見に行きました。今Holdenはライブでモジュラー・シンセを使っていて、他にドラマーがいて、こないだの来日はサックスがいなかったんですけど、海外だったらサックスもいて。ジャズ・トリオのような編成でライブをやってるんですけど、人が踊るのを忘れる瞬間を僕は初めて見ましたね。Taicoclubで見た時も、EMAFで見た時もそうでした。あまりにも不意打ちすぎて。アナログの音が「ビャー」と出てきて、フィルターが開くと音が凄すぎて、皆立って見入っちゃうんですよ。動けなくなるという。60年代以降の実験音楽の歴史を全てアーカイヴして、それを一気に目の前に「ポン」と出される感じなんですよね。本当に、天才ってこういう人のことを言うんだなってまじまじと思いました。それでいて、ジャンルも横断するし、ビジュアル・イメージのアウトプットの仕方も物凄いし。ビジュアル度数が高い音楽だと思います。これとCaribouの『Swim』が同じぐらい好きですね。

H:Holdenには僕も人生を変えられたんで、このアルバムが出たときは嬉しかったですね。James Holdenが、Border Communityが帰ってきた!と思って。進化して帰ってくることがリスナーとしては一番嬉しいです。しかも、全然違うものを作るのではないし、ただ音を良くしただけじゃなくて、もっとこの人になった、みたいな。

A:あとヒロイズムがちゃんとあるのが男らしくて好きですね。彼の中のヒーロー像というのがちゃんと投影されていて、それが綺麗に形になっているのが。

Mono - Hymn to the Immortal Wind (2009)

H:Monoは日本人の4人組のインストロック・バンドで、日本にまだインストロックという概念がないときからこういう音楽をやっていました。ヴォーカルがいなくて日本のライブハウスでライブが出来なかったから、海外に活躍の場を求めて行ったという話を聞いたことがあって、今では日本より海外で有名ですね。それまで4人でアルバムを作っていたのが、このアルバムでついにオーケストラを入れたんです。元々、“轟音”とか“音圧”っていうキーワードは結構好きなんですけど、なんというか、違う音圧とか轟音、美しさを提示してくれたアルバムというか。日本の音楽の美しさを感じるんですよね。洋楽にはないような。

このアルバムが出たときぐらいに、Haiokaとしてソロ・プロジェクトを始めて、今まで紹介してきたアルバムもそうなんですけど、衝動的なアルバムって凄い好きなんです。CDというフォーマットには収まってるけど、ミュージシャンの気持ちが全然収まっていないような。自分もそういう音楽を作りたいって思ったときに、よくこのアルバムを聴いて、目指すべき場所を再確認していましたね。あと、このアルバムでオーケストラに興味が湧いて、オーケストレーションを勉強してみたり、クラシックのコンサートに行ったりするようになって。わざわざドイツのベルリンフィルのツアーの最後の野外でやるコンサートに行くまで、オーケストラの興味を掻き立ててくれたアルバムです(笑)。

Oneohtrix Point Never - R Plus Seven (2013)

A:各メディアが2013年にさんざん騒いだアルバムですね。イメージの向こう側の世界というか。この人がやってることって結局、音楽を音楽で表現していることだと思うんです。Tarantinoが映画でやってる手法と全く同じなんですよね。Tarantinoは映画史を映画で表現しているんですけど、OPNもインタビューで全く同じことを言っていて。音楽そのものを音楽で表現するっていう、メタ表現を究極のハイブリッドにしていったらこうなった、という結果だと思うんです。いわゆる、ここ何年かのヴェイパー・ウェイヴとか、インターネットを介したムーヴメントの中で、一番最先端にいて、かつ音楽的にも優れている人だと思います。この作品はクオリティが高すぎて死ぬかと思いました(笑)。本当に凄いと思います。このレベルのアルバムを作ることが出来たら、発狂するんじゃないですかね。

彼の活動の仕方も好きなんですよね。元々この人、デジタルは一切使ってなくて、ハードのシンセサイザーのループで曲を制作していた人で。ノイズとか実験音楽とか音響界の人達の総本山でもある、いわゆる音表現の中の変態がいっぱいいるEditions Megoから出てきたんですけど、元々僕はMegoが好きで。このひとつ前のアルバムは、サンプリングという手法をすごく分解して作っていたんですけど、このアルバムで初めてこの人が本気でデジタルを使ったんです。ほとんどハードを使っていなくて、ソフトシンセとか、プログラム言語に声を読ませたりとかして。音色とかミックスとかは物凄く今のモダンなダンス・ミュージックなんですけど、それを比喩しながらも、そことは全然違うパラレルワールドを表現していて。メディアアートに近いんですよね。

彼がインタビューで「存在しているだけで価値がある音楽を作りたい」って言っていたのが面白くて。彫刻のような音楽が作りたいと。彫刻はそこに存在するだけで意味と価値が見出されるけど、音楽は形が無いからなかなかそう見られることが難しいと。でもそこにあるだけで存在価値がある音楽が作りたいと言っていたんです。音響、ミックスバランス、色んなものを総合したら綺麗な五角形だな、っていつも思いながら聴きますね。現代最高峰の音楽家のひとりだと思います。

James Holden - The Idiots Are Winning (2006)

H:まず、Border Communityというものが出来たときにすごい衝撃を受けたんですよ。それまでトランスの若き天才DJとして成功したJames Holdenが、突然音楽性を転換して、自分でレーベルを始めて。それまでイーブンキックが目立つトランスを作っていた人が、急にサイケデリックで、リズムを壊した音楽を出して。それを21歳ぐらいのときに、レーベルまで立ち上げてやってしまうのが凄く衝撃的で。なんかこう、「音楽家っていうのはもっと自由だろ」と強烈に突きつけられたような印象を受けたんですよね。Border Communityって、Nathan Fakeとか、Holdenの周りにいる才能がある友達をどんどん世に出して、「友達すごいだろ」ってやってるような内輪感があって。でも全員レベルがすごく高いんですよね。それに憧れて、自分もそういうミュージシャンになりたいし、いつかレーベルを持って、自分の周りに居るレベルの高い人を世の中に紹介する役目を果たしながら、なおかつ、音楽というものを自由に研究していきたいなと思うようになって。そういう姿勢を提示されたんですよね。こうやって生きよう、と思いました。人に何と言われても、自分が格好良いと思う音楽を作んなきゃいけないんだと。そしてこのアルバムの『The Idiots Are Winning』というタイトルも大好きで。

A:彼はタイトルをつけるのが上手いですよね!

H:上手いよね!“馬鹿者どもが勝ってる”って最高のタイトルだなって。当時、こんなにコードや音階も解らないような音楽を作っているのは、僕にとっては、この人だけだったんですよね。ひとりだけ凄く自由な人がいるなって思って。ビッグ・ビートの後、テクノがある程度世の中に浸透して、エピック・トランスとか、サイケ・トランスとか、トランスも成熟してきたところに、急にひとりだけ変な人が出てきた!しかも凄く力強い、っていう印象を受けたんです。このアルバムはCDもアナログも買って、ダウンロードもしました(笑)。この人にお金を払いたいって思って(笑)。その後にNathan Fakeとかを知って、音楽に対する考え方を広げてくれたし。

こないだRed Bull Music Academyで日本に来た時に楽屋に潜入して、直接デモを渡して。この人に会えただけで嬉しかったですね。

James Holden - Live at EMAF Tokyo 2014